2007年06月19日

あまり気は進まないが考えるの巻き

コムスンの問題を考えてみよう。

いろんな人にどう思うか?と聞かれるので。ここに書いておこう。

まずもって。

僕は個人的に。本物の福祉人と断定してもいいと思える、すばらしい
福祉マインドを持ったコムスンの社員と何人か会っている。

コムスンという大きな資本を利用して。介護サービスの届かない地域や
個人に介護サービスを届けたいと本気で考えていたコムスンの社員を
何人か知っている。

組織は個人の集合体だけれど。

やはり。その組織のミッション(社会的使命)を決める代表者の役割は
とても重要だと今回の件で再確認した。

いくらすばらしい個人的ミッションを持っている人がいる組織でも、
代表者のミッションが間違っているとこうなってしまう。

介護事業所の代表者は常にそのことを自覚しないといけない。

介護事業所が壊れるとき。
利用者と従業員の生活が一気に不安定になってしまう。
と自分の胸に諭す。

コムスンの譲渡先の動きもとても考えさせられる。

和民の渡辺さんが、まず、施設関係をやりたいと言った。
訪問系サービスはなかなか誰も手を挙げなかった。

今はいくつかの事業体をグループで受け皿にしての一括譲渡と言ってい
るけれど。

いくつか。わかったことがある。

ひとつは。やっぱり訪問系サービスは不採算なんだということ。

カリスマ経営者の渡辺さんをもってしても、不採算なんだ。
手を出したくないんだ。

時代の寵児折口さんをもってしても、水増し不正の数々を駆使しても
赤字を出してしまうものなんだ。

訪問系サービスはやっぱり「有償ボランティア価格」だと今回の件で
はっきりしましたね。仕事ではない。

厚生労働省はこの事実をどう考えるのでしょうかね。

政治家の皆さんは、この状態を放置して団塊の世代の介護をどうしよう
と考えているのですかね。

このままでは年金問題の二の舞。後10年してからひどいことになった
ことに気付いても遅い。目覚めよ国民!ですね。

ふたつめは。高齢者のサービスは施設サービスと在宅介護サービスが
連動していないということ。だから分割譲渡なんですよね。

一度施設に入ったら。一方通行。もう出られない。希望も聞かれない。
それでいいのでしょうか?

施設サービスも在宅介護サービスもきちんと連動して。
その方の状態に合わせて生活や介護を「選べる」「ケアマネジメントさ
れる」という介護保険創設時の理念やどこに?このままでいいのか?

みっつめは。いよいよ介護事業所も整理統合の時代に入ったと言うこと。

コムスンが潰れても。利用者も従業員もその地域からいなくなるわけ
ではないのですから。誰かが事業者に取って代わればいい。

社会福祉法人は潰れない。その神話もあっという間に吹き飛ぶ時代が
華々しく幕開けをしました。

その主役が資本だけ大きい事業所だということにうんざりあんぐり。

小さい地域密着型事業体を生き残らせることが僕は大事だと信じて
いますし、そのための準備をまったなしでしなければなりません。

一番気になることは。

介護保険制度の費用徴収者が市町村なんだったら。

運用を監査するのは、国でも県でもなく。
市町村にするべきだと強く再確認したこと。

もちろん。高齢化率は大きな偏在があるので。
国全体で介護費用を過疎地もきちんと回るようにバランス取るとして。

どのように運用し、どうチェックするのかは、一番介護問題を我がこと
として考えている地方自治体に任せるべきだと思う。
その方が。真剣に事業者をチェックすると思う。

さらに。おかしな制度運用でおかしな費用負担をさせられていても。
普通の利用者にはまったくわからない。

個々人が権利擁護を受ける仕組みと費用をきちんと国が考えていれば、
コムスンの不正なんてもっと早い時期に表面化したはずだ。

成年後見制度の費用をきちんと国が持つなどのことをしないと。
いつまでもだまされ続ける人が後を絶たないし、その費用の方が高く
つくのではないかとさえ思う。

あらゆる角度からの権利擁護システムの再構築。
今回のコムスン問題から感じた僕の一番の問題意識はそこです。

経営破綻した山一証券の最後の社長:野澤正平さんの言葉です。

「みんな私たちが悪いんであって、社員は悪くありませんから!
善良で能力のある社員たちに申し訳なく思います。優秀な社員が
たくさんいます。ひとりでも再就職できるように応援してください」

もちろん。出世という餌に群がり不正に荷担した社員もいます。
でも。多くのコムスンの社員はまじめにやっていたと思います。

すべてのコムスンの社員が福祉をやりたい!と想ったその日の熱い想い
に立ち返り、また、一緒に福祉をやって下さることを祈念します。

野澤正平さんは。山一がなくなった後も。元山一社員達の再就職の世話
をずっと続けていらっしゃいます。

折口さんにも。そんな責任の取り方を期待します。

何より。信頼したヘルパーが突然変わってしまう利用者がひとりでも
でないように。社会みんなでできることをしたいと思います。







posted by toeda at 22:00| 🌁| Comment(2) | TrackBack(1) | 思う想うおもう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
訪問系サービスはやっぱり
「有償ボランティア価格」だと今回の件で
はっきりしましたね。仕事ではない。

これ身に沁みてます。
コムスンではないですが、
利用していた事業所さんが、
やはり続けられない…と
居宅部門を撤退されることになりました。
ヘルパーさんがこれから来なくなる、
親は事情が理解できるけど、
息子は「○○さんはオヤスミです」と
暫くは頻繁に、
後にもずっと言い続けることになります。
とても切ないです。。。

訪問系の介護職が、仕事として成り立つように
社会的にも経済的にも看護士と同じぐらいの
評価がなされるといいのにな…と思っています。
Posted by shiba at 2007年06月21日 09:16
shiba様>本当に。大卒の初任給として福祉が
すべての産業と比較して最低になったと昨年末
新聞が報じていました。

福祉労働者の質を上げるには、報酬が低い。
報酬を上げるには、福祉労働者の質が低い。
報酬を上げても、経営者しか豊かにならない。

ことは単純じゃありませんよね。

本当に。福祉の質の向上と適正な介護報酬を。

さらに配分の仕方も含めて今一度きちんと議論
するべきだと思います。
Posted by とえだ at 2007年06月26日 15:33
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