2005年10月23日

この仕事はそんなことの繰り返しなのさの巻き

木曜日の朝、ヤマバトを拾いました。

朝、車で山道を通り抜けようとすると、一羽のハトがうずくまっていました。

車を止め、降りて拾い上げると、右羽と右足が折れているようでした。
車にぶつかったのでしょう。

野鳥がこういった状態で死ぬのは自然の摂理、置いて行こうかとも思ったのですが、
目がなんとなく「助けてぽ〜!」と言っている気がして、病院に連れて行くことにしました。

その日は、急ぎ出掛けなければならない用事があったので、スタッフにお願いをして病院に
そのハトを連れて行ってもらいました。

電車に乗り揺られていると、そのスタッフから電話。席を立ち、移動しながら急いで出ると、
ハトが治療中に力尽きて死んでしまったとのこと。

「なんか、俺のお節介のせいで、嫌な思いにつき合わせてごめんな」と謝って、アートスク
ウェアという、うちの職場の桜の下にでも埋めてやってくれと頼みました。
電車の窓の外を見ながら、ふ〜と深いため息をひとつついて、目を閉じました。

その前々日。昔いた施設の仲良しだった利用者の方が亡くなりました。

僕が施設を辞めてからも、ふわりの利用者になって頂き、家庭がいろいろと大変だったことも
あって、よく利用して頂きました。

「と、とえだはん、なんで来んの?」と施設を辞めたことをボソッと言われることがあって、
「も、申し訳ないです」とひたすら謝っていました。ずっと、施設になぜ戻らないのかと、
少ないぼくとつとした言葉で僕に訴えていました。

その度に、心底、自分勝手で施設を辞めて申し訳ないと思うとともに、だからこそ、ふわりを
頑張らなければ、なおさら申し訳ないなぁと思っていました。

そんな彼が、まだ若いのに亡くなりました。

もっと僕達に力があって、もっと彼の想いを、生活を受け止めることができればと強く強く
思う亡くなり方でした。死に顔をじっと見ました。自分の不甲斐なさを焼き付ける儀式です。

僕は、お節介です。力がないくせに、すぐにお節介します。
そして、自分ではそのお節介を完結できないので、周りにいる人を巻き込みます。

傷ついたヤマバト一羽、何ともできません。
自分で病院に連れて行けないのに、拾ってしまいます。

そんな僕に嫌な顔せず付き合ってくれる、うちのスタッフって偉いなぁ。
この人達と、亡くなった彼のことを心に刻みながら、何にもならないかも知れないお節介を、
知多でずっと続けられるといいなぁ。

そして。そのお節介が大きく力強くなって、社会から見過ごされている大切な命に光が当たる
日が来るといいなぁ。

電車の中で、目を閉じたまま、そんなことを考えました。
知多の木々が少しずつ色付き始めています。







posted by toeda at 22:36| 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) | 思う想うおもう | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
戸枝さま、先ほど電話で初めてお話ししました、とみた@岐阜です。
戸枝さんのブログはずっと拝見していまして、いつも勉強させてもらっています。ありがとうございます。
今日のお話しは、とっても、重く、心にずっしりです。じんわり涙がにじんできて、それから、思いっきり大声上げて泣きたい気分です。
====
僕は、お節介です。力がないくせに、すぐにお節介します。そして、自分ではそのお節介を完結できないので、周りにいる人を巻き込みます。
====
何の力も知恵もなく、障害を持つ子供たちの心もわかっていないであろう私が、それでも、何かに突き動かされて、かかわりを始めてしまいました。
先ほどの、戸枝さんの言葉に、許しをもらったような、そんな、今夜です。
戸枝さんにお逢いし、お話をうかがえますことを楽しみにしております。ありがとうございます。
Posted by しん:とみた at 2005年10月23日 23:10
知多のお節介が、
愛知県へ、日本中に、そして世界中に飛び火する日が来ることを信じています。
いつも自分の場所から知多を見ています。
くじけそうなときは知多に行って元気をもらい、
また自分の場所で頑張ります。
Posted by ながた at 2005年10月24日 08:30
しん:とみたさま>岐阜は地域福祉がもっと進
んで欲しいと僕も思っていますので、お手伝いで
きることがあればと思います。

って、すぐそんなことを考えるのがお節介なんで
すよね。(−。−;

ながたさま>行動援護の研修をやりました。
全国から来たまさに仲間たちが同じ夢を見ている
ことに元気をもらいました。

本当に。人を人としてきちんと包むという想いが
日本中を包むといいですね。

ふわりんくるーじょんです。
Posted by とえだ at 2005年10月28日 18:04
お節介でも、戸枝さんが気づかなければ
ヤマバトも彼もそのままそこにいたかもしれない。
今、戸枝さんには、付き合ってくれるスタッフがいる。
いいじゃないですか\(^o^)/

私なんて一昨日、自分のふがいなさに
帰宅途中の愛車の中で絶叫して、泣きまくりでしたよ(コワイ)
でも、私にできることなんてほんのちょっと。
結局はそのちょっとずつを積み重ねていくしかできないし、
ちょっとずつでも人数が集まったらいろいろできるかもしれないですよね。

Posted by ゆか at 2005年10月29日 01:27
ゆかさま>

子どもの頃に母に歌ってもらったこの歌を
僕はつらくなるといつも口ずさみます。
「ひとりの小さな手」というらしいです。

ひとりの小さな手 なにもできないけど
それでもみんなの手と手をあわせれば 
なにかできる なにかできる

ひとりの小さな声 なにも言えないけど
それでもみんなの声をあわせれば 
なにか言える なにか言える

ひとりの小さな目 なにも見えないけど
それでもみんなのひとみでみつめれば 
なにか見える なにか見える

ひとりであるく道 遠くてつらいけど
それでもみんなの足なみひびかせば 
楽しくなる 遠い道も

ひとりの人間は とても弱いけど
それでもみんながみんなが集まれば 
なにかできる なにかできる
Posted by とえだ at 2005年10月29日 23:53
戸枝さんを支える歌ですね(^-^)
私は小学校のとき、みんなで歌いました。
久しぶりに思い出しました。
Posted by ゆか at 2005年10月31日 00:12
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